猫目先輩の甘い眼差し
「零士先輩すげぇ〜」と感動している笹森くん。
威嚇してるトラ吉しか見たことないもんね。
「失礼しまーす。お待たせしました〜」
空気が和んだいいタイミングで一ノ瀬先輩がやってきた。
「零士先輩! お久しぶりです!」
「おお、颯くん! いらっしゃい!」
真っ先に駆け寄っていった笹森くんを眺める。
先輩の顔が嬉しそう。本当に仲良しなのがうかがえる。
私もあんな風に話しかけたいけど……覚えてるかな。
「零士さん、こっちにもお客さんいますよ」
仲睦まじく話す2人を眺めていると、樫尾くんの呼びかけで先輩の視線がこっちに向いた。
切れ長の大きな瞳が、私を真っ直ぐ捉える。
会うのは2回目なのに、緊張して手汗かいてきた。
この前までは親切なお兄さんだったけど、今は学校の先輩。しかも部長。
お礼を言うだけだとしても、失礼な態度を取らないように気をつけないと。
「こんにちは。お忙しい中呼び出してしまってすみません」
「いえいえ。大丈夫ですよ」