きみは桜姫。
「東の王子、国をかけて勝負だ!」

「ふ。奴隷のお前に何ができる」

舞台の上で、西の王子役のかずこちゃんと、東の王子役の男子が剣で戦う。

照明が変わり、2人は相打ちになる。

「王子!」

わたしはそう言って、西の王子役のかずこちゃんに駆け寄った。

「姫……わたしは君に会えて……幸せ……だった……」

「王子!」わたしは薔薇姫になりきっていた。涙が流れる。それは、本当の涙だった。

すると、照明がまた変わり、音楽が変わり、
ダンスの子達が薄い大きな細い布を持って綺麗に踊る。

私は布に隠れて、かずこちゃんの着替えを手伝う。

踊りの子たちがはけていく。

「薔薇の姫君!」

「王子様」

私とかずこちゃんは抱擁する演技をした。



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