真夜中に恋の舞う
そんなことがあって、無事に私も外に出歩けるようになったので、今日は犀川くんのお見舞いに向かっている。
バスで行けると行ったのだけれど、「危険な目に遭わせたんだから、せめてこのくらいはさせてほしい」と言われて、尋くんの車で送ってもらうことにした。
「尋くん。ずっと、守ってくれてありがとう」
右隣の運転席に座る尋くん。
眼鏡の奥の、泣きぼくろのある瞳が、ふっと笑って細くなる。
「守ったのは深雪だろ」
「……違うよ、尋くんもずっと守ってくれてたでしょ」
最初は、尋くんの優しさになかなか気付けなかった。
尋くんの優しさは、愛情は、わかりづらくて。
尋くんが私から離れたのは、私と遊んでくれなくなったのは、まだ小さかった私を危険なことに巻き込まないためだったのだろう。
そして組織のために私が狙われていると知った時も、自分が近くにいるとより私が狙われると思って、犀川くんに私を守るように頼んだ。
私が真島諒介に撃たれそうになった時も、尋くんは真島諒介の腕を撃って、私を守ろうとしてくれた。
実際に、尋くんが彼の腕を撃っていなかったら、彼が何の邪魔もなく銃を撃っていたら、私は死んでいたかもしれないと、現場を見ていたジョーくんに言われた。
ずっと近くで、自分の身を犠牲にしてでも、私を守ってくれたのは犀川くんだった。
でも尋くんも、ずっと私を守ってくれていた。
どうすれば私が確実に助かるのかを、ずっと考えてくれていた。
本当はずっと、私は2人に守られていた。