ままになったら極上御曹司に捕まりました?!
何の資料だったっけか。あぁ、打ち合せの件か。
仕方なく蓮から受け取った資料を開く。
『松陽総合公園 新規事業打ち合わせ』
今までも話をもらってから依頼主がこちらへくることはあっても、こちらが行くことは無かった。
まぁでも、確かに蓮のいう通り1度は伺うつもりだったし、この機会に行くべきだな。
さらにページを捲ると、2日間にかけて、打ち合わせや視察、他の提携企業との会議などが行われるとあった。
わざわざ泊まる必要はないのではないかとも思ったが、ここから車で2時間のところをわざわざ往復する必要もないかと思い直す。
宿泊施設は向こうが事前にこちらの名前で予約を入れてくれるらしく、こちらは何もしなくていいとのことだった。
旅館ならば、部屋でも仕事は可能だし、溜まった業務も何とかなるだろう。
そう思い、旅館の詳細を見る。
『花宮旅館』
その文字を見た時、"彼女"の顔が頭に浮かぶ。
同じ苗字だと言うだけで全く旅館とは関係ないのだが。
やっと手に入ったと思った瞬間、手の隙間からこぼれ落ちていった彼女。
今まで何度頭からかき消そうとしたのだろう。
浮かんだ彼女の顔をを振り払う。
今まで通り彼女は忘れて、仕事をしよう。