桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

絶望の淵


ここは、どこだろう‥‥‥?

またもや、暗闇の中。

風邪で寝込んだ時に見た夢と同様に、右手に温もりを感じる。

なぜか分からないけど、とても安心するんだ。

『蒼ちゃん』

それに、あの男の子の声。

‥‥‥?

けれど、なにかが違う。

今、その子は必死に私を呼んでいないということ。

落ち着いていて、どこか切ない声で‥‥‥。

『また逢おうね』

男の子は、私にそう伝えた。

触れていた手がそっと離れ、一気に不安が押し寄せる。

いやだ‥‥‥。

離れちゃ、いやだ!

そんな気持ちとは裏腹に、だんだん足音が遠くなっていく。

待って!

行かないで!

いくら叫んでも、私の声はきみには届かない。

ねぇ、お願いだから待って!

せめて、きみの名前を教えて!

きみは、一体‥‥‥。
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