桜の花びらが降る頃、きみに恋をする

ーーガチャッ。

「おはよう、蒼(あおい)」

リビングのドアを開けると、慌ただしく仕事行く準備をしているお母さんが私に気付いて笑顔で挨拶をしてくれた。

「‥‥‥おはよう、お母さん」

挨拶をするものの、私は笑顔を返すどころか作ることもできない。

私のせいで大切な人をなくしてしまったから‥‥‥。

「蒼、もうすぐ仕事に行くけど、朝ごはんしっかり食べておくんだよ」

「うん。あとで食べるよ」

そう返事をしたけど、あまり食欲なんてない。

ひどい時は、ご飯を食べない日もあるぐらい。

そんな少食な私を、お母さんはいつも心配している。

「あっ。それと、今日は仕事終わるの遅いから先に寝てていいからね」

お母さんは、引っ越し早々仕事が決まって朝から昼まではスーパーの店員。

そして、夜は近くの飲食店で働いている。

「分かった。お仕事、頑張ってね」

「ありがとう。蒼も今日から学校頑張るんだよ」

「‥‥‥うん」

お母さんの言葉に、小さく頷いた。

私は、今日から高校1年生。

新しい学校に行くのは、少し気が重い。
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