愛のない結婚のはずが、御曹司は懐妊妻に独占欲を放つ【憧れの溺愛シリーズ】
ついさっき彼に笑われたように、わたしの頭の中は疑問符で埋められていて、いったいどれから訊けばいいのか選べない。

そんなわたしの状態を、祥さんはちゃんと分かっているようで。

「焦らなくていい。寿々那の疑問には、ちゃんと全部答えてやる」

「……はい」

ゆっくりと諭すように言われて、わたしは素直に頷いた。彼は強引で少し意地悪なところもあるけれど、根は優しい人なのだとわたしは最初に出会った時から知っている。

じっと彼の顔を見上げていると、なんだかとても懐かしい気持ちになる。

(あれからまだ一週間しか経ってないなんて、とても信じられない……)

帰国の前後で色々なことがありすぎたせいで、あの日のことがもうずいぶん昔のことに思えていた。

ロンドンの最後の夜。あれはもしかしたら、夢だったのかもと思っていたけれど―――。

「答えてやる―――が、その前に」

「え、―――わっ!」

おもむろに白無垢の打掛を引きはがされたことに驚く。

「な、なにを…!?」

「その恰好を、今すぐなんとかすべきだな」

「え…あ……」

突然脱がされたことにも驚いたけれど、自分の体が信じられないほど軽くなったことにも追加で驚いた。どうしてもっと早くに脱がなかったのだろう。
用もないのに(・・・・・・)そんなものをずっと羽織っていたら重苦しいだろう。そう気を遣ってくれたのだと思って、お礼を言おうと口を開きかけた―――が。
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