悪いコの味方!


23日は晴天だった。でも前日に降った雪が残っていてちょっと滑りやすい。

寒すぎて耳を出せなくて緩いハーフアップにした。服は初めて一緒に寄り道した時に買ったやつ。


真篠くんに滑らないでねとメッセージを送るとギャグが滑ってる猫のスタンプが返ってきた。センス抜群?


待ち合わせ場所にもう彼は着いていた。


大きく手を振りながら近づくとあっちは小さく手を上げる。ちょっと照れくさそうにするの。可愛い仕草。



「わっ」


視界がずれる。


「危な、」


ぐっと腕を支えられて、転ばずに済んだ。

見上げると至近距離で目が合う。


彼は眉をひそめる。


「滑らないように、とか言って自分が滑るとか」

「ははは…助けてくれてありがとう」


この距離はだめだ。顔が熱くなる。


「いーえ。で、今日はどこに行くの?」



予定はわたしに任せてくれた。

初めて考えたにしては上出来だと思うの。雑誌読んで勉強したよ。



「午前中に買い物を済ませます」

「何ほしいの?」

「わからない。でもふらふらします」

「それで?」



あ、手。取られた。わたしたち、手袋はしないの。


「それでお昼にケーキを食べるの。おいしいお店探して…予約した!」

「へえ、すごいじゃん」

「そして電車で1時間移動してイルミネーションを見に行きます」

「あー、あの山になってるところ?」

「…行ったことあるの?」

「ないです」



わあ…良かった。ないんだって。また初めていただきだね。


今まで手を繋いでるカップルを見ると歩きづらくないのかなって不思議だった。自分がしてみるとやっぱりちょっと歩きづらい。手汗も気になる。


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