悪いコの味方!
彼女とおれの未熟なお伽話


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3ヶ月に一度変わる髪色。1ヶ月に一度変わる爪先。はっきりした目鼻立ちをばっちり化粧で色づけてる。


派手な身なりと口ぶりに良い意味で不相応な愛嬌。

美少女なんだけどたぶん流行りを無視して自分好みに自分をプロデュースしてるギャル。


初めて認識したのは入学して数日経った頃。ゆるが「さやと同じ名前の子、すっごい目立つね」と話していたから知った。

初めて話したのはそれからすぐ。先輩に誘われるがまま身を委ねていた時、保健室の扉から彼女は現れた。


顔から首まで真っ赤に染めて、視線を泳がせている。


何その反応。似合わなすぎだろ。



「すごい!ドラマのキスシーンみたいだった!ねえキスってどんな感じ?気持ちいいって本当?」


どうやらいろいろ、シたことがないらしい。こんなくだらない行為のために身を乗り出して無我夢中で聞いてくる美少女。変な光景だった。明らかに見た目は経験値の高そうな雰囲気なのに。

モテなかったわけじゃないんだろう。実際におれのクラスのやつらもうわさしていたし。

どちらかというと高嶺の花に近い。話しやすいのに自分が全く対象じゃないことに気づかされてしまうらしい。



「どうだろうね。試してみる?」


でもまあ、おれがこう言えば。

よく知らないやつの誘いでも他の人と同じでどうせ食いついてくるんだろ。


「いやいやそこまでしてもらわなくていいよ〜。いつか好きな人と付き合ったらするんだし」


…は。


「そのいつかが来なかったら一生経験できないけどいいの?気になってるんじゃねーの?」

「気になるけど、好きじゃない人とすることじゃないから好きな人ができなかったら仕方ないよね」


まるで今まで生きてきた時間を全部、まるごと否定された。


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