天城兄弟、お見通し。
バチバチとにらみ合う双子。
とはいえ、どちらか一方を選ぶなんて、今のわたしにはできっこないわけで。
「ひっ、ひとりで帰ります!」
ぶんっと両手を振り切って、家に向かって走り出す。
無理無理、この双子に囲まれてちゃ心臓持たないもん。
「あー、逃げられた」
「まあどうせ帰る家同じだけどね」
「ナナが変に圧かけるからじゃん」
「いやいや、れんでしょ」
走り去るわたしの背中を眺めながら、ふたりがそんな会話をしていることなど、当然知る由もない。