香澄side 最初のものがたり
待ち合わせ10分前。
ツバサくんの姿はそこにあった。
そっか。
ナナちゃんと待ち合わせの時は、
いつも早く来てるんだね。
いつものんびりしてるから、
遅れてくるイメージだけど、
嬉しくて楽しみで、
早く家を出ちゃうんだね。
チクッとする胸の痛みを散らし、
かわいく小さく手を振りツバサくんへ
駆け寄った。
私に気がついたツバサくんも
大きく手を振ってこたえてくれた。
その笑顔にまた恋をする
かわいい。
「ツバサくん、早いね」
そういう私に少し照れた顔をする。
「なんか、今日は早く来ちゃった」
屈託なく笑う。
今日は、って強調されると、
あの返事の事を気にしてくれているのかと
期待しちゃう。
私、少しはあなたを揺さぶれたのかな。
ツバサくんは白いトレーナーとジーパン姿。
お世辞にもおしゃれとは言えない。
本当に、野球以外は興味がないんだな。
でも、この絶妙にダサい感じもなんか好きだ。
今日はね、
全力でツバサくんのぬるい世界を
壊すって決めてるから。
だから、色々と作戦も練った。
男の子はボディタッチに弱いって、
そうリサから聞いた。
だから、触れてみる。
「ツバサくん、白、似合うね。
トレーナー、あったかそう。」
腕に触ってトレーナーをもふもふした。
少し照れたような反応。
やっぱり、効果あるんだ。
「香澄ちゃんも、白、似合うね。それ、
ふわふわしててクラゲみたい」
白いティアードのロングスカートの事を
言ってるんだ。
クラゲって、確かにシフォン地だから、
クラゲみたいか。
おもしろい、たとえ。
「ツバサくん、白、好きなの?」
「うん、好き」
即答する。
両手でツバサくんの肘あたりを持ち
はしゃいでみる。
「やった。じゃあ、白い服ばっか
着ようかなあ。」
きょとんとする。
「なんで?」
うそ、そこは分からないのか。
「なんでか、知りたい?」
めいいっぱい、かわいく見えるように、
鏡で練習しまくった上目遣いをキメる。
でも、
「あ、なぁな!なぁなだ!おーい!」
私の練習は無駄に終わった。
ツバサくんの目線の先には
ナナちゃんと工藤くんが周囲の注目を
浴びながら、じゃれ合ってる。
何、あれ。
わざと見せてるの?
工藤くんがナナちゃんの両手を掴み、
その顔を覗き込むように近づけている。
そのまま、ナナちゃんが持っている帽子を
被せ、何か言って2人で照れているような
雰囲気が、ここからでも分かる。
あ、ベレー帽だ。
ナナちゃん、ベレー帽、被ってきた!
ツバサくんの好みに合わせたくて
女の子の服装の話をした時に言ってた。
「俺、女の子の服は分からないけど、
絵描きさんみたいな帽子好きなんだ。
俺、幼稚園の時に女の子達が被ってて、
なんか、その頃から好きなの。」
そう言ってた。
ナナちゃんも知ってたんだね。
私、ベレー帽、似合わないから、
諦めたんだ。
ナナちゃんは似合ってる。
悔しくて泣きそうになったから、
わざとツバサくんの肩に手を置いて、
背伸びをしながら、ナナちゃん達に手を振った。
見て、こっち。
あなたが、工藤くんとイチャイチャしてる間に
私はツバサくんを奪うから。
私の悪意には全く気が付かずに、
ツバサくんは全力で2人を呼ぶ。
工藤くんが気が付き、2人はやっと、合流した。
ツバサくんの姿はそこにあった。
そっか。
ナナちゃんと待ち合わせの時は、
いつも早く来てるんだね。
いつものんびりしてるから、
遅れてくるイメージだけど、
嬉しくて楽しみで、
早く家を出ちゃうんだね。
チクッとする胸の痛みを散らし、
かわいく小さく手を振りツバサくんへ
駆け寄った。
私に気がついたツバサくんも
大きく手を振ってこたえてくれた。
その笑顔にまた恋をする
かわいい。
「ツバサくん、早いね」
そういう私に少し照れた顔をする。
「なんか、今日は早く来ちゃった」
屈託なく笑う。
今日は、って強調されると、
あの返事の事を気にしてくれているのかと
期待しちゃう。
私、少しはあなたを揺さぶれたのかな。
ツバサくんは白いトレーナーとジーパン姿。
お世辞にもおしゃれとは言えない。
本当に、野球以外は興味がないんだな。
でも、この絶妙にダサい感じもなんか好きだ。
今日はね、
全力でツバサくんのぬるい世界を
壊すって決めてるから。
だから、色々と作戦も練った。
男の子はボディタッチに弱いって、
そうリサから聞いた。
だから、触れてみる。
「ツバサくん、白、似合うね。
トレーナー、あったかそう。」
腕に触ってトレーナーをもふもふした。
少し照れたような反応。
やっぱり、効果あるんだ。
「香澄ちゃんも、白、似合うね。それ、
ふわふわしててクラゲみたい」
白いティアードのロングスカートの事を
言ってるんだ。
クラゲって、確かにシフォン地だから、
クラゲみたいか。
おもしろい、たとえ。
「ツバサくん、白、好きなの?」
「うん、好き」
即答する。
両手でツバサくんの肘あたりを持ち
はしゃいでみる。
「やった。じゃあ、白い服ばっか
着ようかなあ。」
きょとんとする。
「なんで?」
うそ、そこは分からないのか。
「なんでか、知りたい?」
めいいっぱい、かわいく見えるように、
鏡で練習しまくった上目遣いをキメる。
でも、
「あ、なぁな!なぁなだ!おーい!」
私の練習は無駄に終わった。
ツバサくんの目線の先には
ナナちゃんと工藤くんが周囲の注目を
浴びながら、じゃれ合ってる。
何、あれ。
わざと見せてるの?
工藤くんがナナちゃんの両手を掴み、
その顔を覗き込むように近づけている。
そのまま、ナナちゃんが持っている帽子を
被せ、何か言って2人で照れているような
雰囲気が、ここからでも分かる。
あ、ベレー帽だ。
ナナちゃん、ベレー帽、被ってきた!
ツバサくんの好みに合わせたくて
女の子の服装の話をした時に言ってた。
「俺、女の子の服は分からないけど、
絵描きさんみたいな帽子好きなんだ。
俺、幼稚園の時に女の子達が被ってて、
なんか、その頃から好きなの。」
そう言ってた。
ナナちゃんも知ってたんだね。
私、ベレー帽、似合わないから、
諦めたんだ。
ナナちゃんは似合ってる。
悔しくて泣きそうになったから、
わざとツバサくんの肩に手を置いて、
背伸びをしながら、ナナちゃん達に手を振った。
見て、こっち。
あなたが、工藤くんとイチャイチャしてる間に
私はツバサくんを奪うから。
私の悪意には全く気が付かずに、
ツバサくんは全力で2人を呼ぶ。
工藤くんが気が付き、2人はやっと、合流した。