香澄side 最初のものがたり
だから、オレ‥。

その続きを聞く前に、
ナナちゃん達が戻ってきた。

はぁー。
間が悪い2人!

でも、もしかしたら、これって、
いい流れなんじゃない?

目の前でどうでもいい話を始める3人を
見ながら、頭の中を整理した。

つまり、
ナナちゃんといると安心する。
ホッとする。守ってもらえる。
イコール
お母さん!

私の事は一緒にいるとドキドキする。
いつもと違う自分が出ちゃう。
戸惑う。
止められない(言ってないけど)
イコール
好き!

そういう事だよね。
うん、絶対にそう。
ツバサくんは気がついてないかもしれない。
だけど、好きになってくれたのかもしれない。

これは押すしかない!

敗北感だった私の心にまた火がついた。

でも、もう、ナナちゃんに意地悪はしない。
彼女はいい子だから。
きっと、本当にツバサくんが好きなんだ。
困らせたくなくて、
守れなくなるのが怖くて
そのままの関係を続けてる。

そんなナナちゃんだから、
工藤くんもほっとけないんだ。

ごめんね、ナナちゃん。
私はツバサくんが欲しいんだ。
彼女になれないなら、そばにいたくないの。
そばにいて、誰かと仲良くする姿なんて、
見たくないから。
だから、ツバサくんをもらうね。

ごめんね。

「なぁな、髪、伸びたね。
長い髪、好き。俺は伸ばせないからね」

そう言って、
ツバサくんは、ナナちゃんの髪に触れた。

自分が伸ばせないからって理由なのは
罪だけど。

でも、女の子の髪に簡単に触れるなんて、
ちょっとモヤモヤする。

「えーじゃあ私、切るのやめようかな」

参戦した。
だって、ナナちゃんの髪に触れるなんて
嫌だから!

「うん?なんで?」

キョトンとするツバサくん。
分からないのか。
本当に鈍い。

さっき、できなかった作戦を決行する。
鏡で何度も確認した、あの上目遣い。

「なんでか、知りたい?」

5秒、5秒見つめる。

5.4.3.2‥1

ツバサくんが赤くなるのが分かる。

でも、この5秒は、ナナちゃんへの
最終通告!
最後のチャンスだよ。

止めるなら今!

止めないと私、ツバサくんを奪っちゃうよ。

「勇磨、あそこに何かある!」

そう言って、抵抗する工藤くんを引っ張り、
私達から距離を置いた。

その後ろ姿に私はゆっくりと目を閉じた。

いいって事だよね。
ツバサくんをもらっていいって事なんだよね。

大きく息を吸い込んでゆっくりと吐く。

心を落ち着かせた。






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