再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「ねえ、環先生」
「はい」

内視鏡に入った午後の時間。
新太先生に呼ばれ、私は顔を上げた。

「来週の土曜日って時間ある?」
「えっと、誰か気になる患者でもいますか?」

経過が気になるから様子を見ておいてくれって話だと思った。

「違うよ、仕事じゃなくて」
「はあ」
「ご飯に行く約束してただろ?」
「そう、でしたね」
確かにそんな話をした記憶はある。

「土曜日が勤務じゃなければ、どう?」
「そうですねえ」

新太先生と食事なんてもちろんうれしいけれど、西村先生はいいんだろうか?
付き合っているって敬から聞いているし、先日私がマンションに泊ったこともバレれば大変だろうと思うけれど。
それとも、他にも誰か誘う気かな?

「和洋中何でも、ご希望に合わせるよ」
「うぅーん、・・・あっ」
「何?」

しまった。その日は・・・
「ごめんなさい土曜日は敬とバーベキューに」
「杉原先生?」
「ええ。でも、敬だけじゃないですよ。救急のメンバーも一緒ですし」
「じゃあ、日曜日は?」
「それが・・・」

新太先生の眼力が思いのほか強くて、私の言葉は止まってしまった。
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