再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
「血液検査の結果が出ればはっきりするでしょうが、おそらく何かの毒物が混入したものと思われます」
「やっぱり」
敬も同じように予想していたようだ。

でもなぁ、今日のワインは地元のワイナリーからわざわざ取り寄せたもので、みんなの前で敬が栓を開けた。毒物なんて混入するタイミングはなかったと思うけれど。

「誰かが故意に入れたってことですか?」
「それは・・・」
病院の医師の問いかけに敬は言葉を濁した。

今日集まっていたのは親しい仲間達ばかり。間違っても人の飲み物に毒を入れるような人はいないはず。

「検査の結果が出次第、警察に連絡させてもらいます」
「はい」

敬も拒むことはしない。
本当に毒物混入ならば、警察に通報しないわけにはいかないんだから。

「原因はともかく、僕は患者の治療に全力を尽くします。それが優先だろうと思いますので」
「わかりました」

病院の医師としてもそこは同じ気持ちらしく、2人で検査や治療についての話を始めた。
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