再会したのは、二度と会わないと誓った初恋の上司
飲み会が始まって2時間ほど。
みんなそれなりに酔っぱらっていき、私もほぼ限界を迎え睡魔に襲われ出した。

「和田先生大丈夫ですか?かなり眠そうですよ?」

それはあなたたちが飲ませるからでしょうと叫びたいのをこらえ、
「大丈夫です」
とまたビールに口をつけようとした瞬間、

「もうやめておきなさい」
聞きなれた低音が鼓膜に響いた。

この声が誰なのか、私は顔を見なくてもわかる。
それは、こんな醜態を誰よりも見せたくない相手。

「皆川先生」
スタッフたちの驚いた声。

その理由は、皆川先生が私の持っていたジョッキを取り上げたからだった。

「飲みすぎだ」
「大丈夫、です」
「どこがだよ。ほら、帰るぞ」
いきなり腕をつかまれ、私は立ち上がった。

「え、いや、あの・・・」
みんなが見ているから・・・

皆川先生らしからぬ強引な行動に驚きながら、抱えられるように歩き出した私。
酔っぱらった思考では何の抵抗もできないまま、部長に挨拶することもなく会場を連れ出された。
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