外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~


「優越感なんて、そんな」


 つい独り言を呟いてしまうほど、さらっと出てきたセリフに反応してしまう。

 知り合った当初から、晶さんは私をどきりとさせ、期待させるようなことを平気で言う。

 そのたびに私は踊らされそうになってしまうから、単純というかちょろい。

 自室に入り、着て出かけたスプリングコートをクローゼットに戻す。


「あ……」


 引き出し収納の上、大事に丸めてケースに入れ保管している例のポスターが目に留まった。

 このマンションにももちろん持ってきていて、機会があれば晶さんにも見せたいと思っていた。

 今日はカメラのことを気にかけてもらったし、今見せたいと気持ちが昂る。

 ケースを手に取り自室を出ると、ちょうど晶さんも部屋から出てきたところだった。


「晶さん、これ、いつか見せたいなって思ってたやつで」


 ケースから出したポスターを広げ、晶さんに見せる。

 いつ見ても心奪われる写真は、何年経っても色褪せない。

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