外交官と仮面夫婦を営みます~赤ちゃんを宿した熱情一夜~


 マンションを出て首都高速にのった車が向かった先は、東京郊外のベッドタウンと呼ばれる街。

 窓の外をきょろきょろと眺めているうち、車は可愛らしい庭付き一戸建ての駐車場へと入っていく。


「ここ……スタジオ?」


 さり気なく出ている表の看板を見て、着いた先が貸しスタジオだと知る。

 車を駐車させた晶さんは「正解」とエンジンを停止した。


「え、貸しスタジオに何かあるんですか? 私、今日は簡単なカメラしか持ってきてないですけど」

「それは問題ない」


 晶さんに手を借りて降車し、白い木造りのスタジオ入り口へと向かう。

 事前に鍵を預かっているらしく、玄関のドアを開けて「入って」と私を中へと促した。


「失礼します」


 中も外観同様に白い木造りで、窓から差し込む陽の光で室内はとても明るく感じる。

 貸しスタジオは撮影でよくお世話になるけれど、ここのスタジオは初めて訪れる。

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