過保護な御曹司の溺愛包囲網~かりそめの妻かと思いきや、全力で愛されていたようです~
「美香、ただいま」
「おかえりなさい」

夜になると、拓斗が部屋に帰ってきた。思っていたよりも早い時間だ。

「なんか、いいもんだな。こうして帰りを待っていてくれる人がいるのって」

拓斗が照れくさそうに言うから、なんだか自分も恥ずかしくなってくる。

「思ったより、早かったですね」

時計に視線を向ければ、十九時を過ぎたところだった。

「夕飯を、美香と食べようと思って」

今の私をひとりにするのは、あまりよくないと思ったのだろうか?
無茶をするつもりはないけれど、たしかにひとりでいると沈んだ考えばかりがぐるぐると渦巻いてしまう。話し相手が欲しいかと問われればよくわからないが、引きこもってしまうのは健全とは思えない。

「ありがとう。ただ、私に合わせて無理はしないで欲しいです」
「ああ、もちろん」

外に出る気分ではないだろうと、夕飯も部屋へ運んでもらった。
ここのところの精神的苦痛や不安感で食欲はあまりなく、ランチも半分ほどしか食べられなかった。
でも、一緒に食べる相手がいれば気がまぎれて少しは食べられそうだ。

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