【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。

初めての景色✕告白



「はい」
 
 出かける準備を終えて家を出たのは、午前十時過ぎだった。
 大翔さん自身が車を出してくれて、ナビに目的地を入力して目的地まで走り出した。

「それは大翔さん、今日はどこに行くんですか?」

「着いてからのお楽しみだ」

 着いてからのお楽しみと言われると、尚更気になってしまう。

「とても気になります」

「着けば分かるさ。そんなに焦るな」

 そう言われてしまったわたしは「分かりました」と伝えて窓から外を眺めた。
 そして走り出してからしばらくすると、窓の外の景色が急に変わりだした。

「え、山だ……!」

 一面山だらけの景色になってきたのだ。鮮やかな緑色で、とてもキレイな景色だ。

「すごいだろ?」

「はい! これだけでも充分キレイ……!」

「こんなのはまだまだだ。 この後はもっとすごい景色が待ってる」

 ハンドルを持ちながらそう言ってきた大翔さんの横顔に目を向けると、その横顔があまりにも素敵で思わず見とれてしまう。

「……なんだ?」

 わたしの視線に気付いたのか、大翔さんはチラッとわたしを見てきた。

「い、いえ! 別に……!」
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