【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。


「……じゃあ、お願いしてもいいですか?」

「もちろんです。 剥いてきますね」

「ありがとう、天野川さん」 

 わたしは「はい」と返事をして、リンゴの箱が乗った台車を押して、キッチンカウンターへと向かう。

「美味しそう。いいニオイ」

 目の前に広がるリンゴの甘酸っぱい香りがカウンターに広がると、なんかテンションが上がっていく。

「あ……リンゴの品種、分かるようにしておいた方がいいよね」

 紙とペンと用意して、何のリンゴが分かるようにリンゴの品種を書いておく。



「皆さん、お待たせしました」

 剥き終わったリンゴと人数分のフォークを持って、ミーティングルームへと運ぶ。

「ありがとう、天野川さん」

「早速食べてみましょうか」

 片山さんからの一言で、わたしたちはリンゴを口にしていく。

「うん、美味しい」

「やっぱり美味しいね」

 リンゴはそのままでも充分に美味しいものだ。水々しくて、シャッキとしている。  

「これはジョナゴールドだっけ?」

「そうです」

 ジョナゴールドは岩手県産の物らしい。 酸味は少なめで、しっかりと甘みもある。
< 80 / 97 >

この作品をシェア

pagetop