呪われ侯爵の秘密の花~石守り姫は二度目の幸せを掴む~


 帰りはシュリアの家の馬車が送ってくれた。が、エオノラは自宅に着く手前で降ろしてもらった。
 馬車が引き返したことを確認するとエオノラは歩き始めた。行き先は自宅ではなく、あの死神屋敷だ。あれ以降、一度もクリスの屋敷には忍び込んではいない。

 本当は庭園の奥から聞こえてくる石が何を求めているのかはっきりとさせたい。しかし、あんなに具合の悪そうなクリスを見てしまった以上、また勝手に侵入して困らせるわけにもいかなかった。
(侯爵様……大丈夫かしら。重い病気だったのかもしれないのに私ったら困らせてしまったわね)
 あれから毎日紙袋に軽食とおやつを入れて死神屋敷の塀の上に置いていた。使用人の気配がなかったので、ご飯に困っていたら大変だと思ったからだ。
 今日もシュリアにお願いしてスコーンとクッキーを貰ってきた。

 フォーサイス家ではエオノラが毎日軽食の入った紙袋を持っていくので案の定、ジョンやイヴに不審がられた。なので小川近くに住んでいる犬にあげるのだと適当なことを口にした。

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