呪われ侯爵の秘密の花~石守り姫は二度目の幸せを掴む~


 屋敷に戻ったエオノラは自室に籠もって早速資料に目を通す。
「――なるほど。宝石箱を開ける鍵になるものって極論をいえばなんでもありってことなのね。鍵穴はただのカモフラージュだったんだわ!」
 資料によると、宝石箱に最初に入れた品に魔力が宿り鍵になるようだ。鍵となった品を宝石箱の蓋の上に置くと錠が自動的に解錠される仕組みになっている。

 最初に入れたものであればその辺に落ちている小石だろうと小枝だろうと正直なんでも良い。ただし、生ものは腐るので魔術は掛からないようになっている。
「……となると、お祖母様のブローチを使ってもう一度試してみる必要があるわね」
 エオノラはジョンにお願いしてもう一度アクアマリンのブローチを借りることにした。
 ドキドキしながら、ブローチを握る右手を箱の上まで持って行く。次にそっとブローチを蓋の上に置き、固唾を飲んで成り行きを見守った。だが、蓋が開く気配も解錠する音も聞こえない。ブローチをのけてから蓋に手を掛けてみたがびくともしなかった。

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