スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜



 ブラッシングするのも一苦労だけど、終えた後にハイネに抱きつくのが至福のひとときになっている。

 レイのいない寂しさを埋めてくれるように、城の慌ただしさに飲まれないように、ハイネがいつも私の傍にいて励ますように寄り添ってくれた。


「今日もいい天気になりそうね」

「ガウ」

「穏やか過ぎて怖いくらいじゃないか。あーあ、王様早く帰ってこないかな。ボクも色々と魔法で遊びたいのに」

「……」


 自分の存在が見えない相手には興味を示さないシュマだったけど、いつの間にかレイの事が随分と気に入ったようで、早く帰ってきてほしいとせがむのが口癖になりつつある。

 そんなの……私だって早く帰ってきて欲しいわよ。

 命を張って自分の背負う国を守るために、今日も彼は戦場を駆け巡っているに違いない。

 私の沈黙にシュマも何かを感じたのか、魔法石へと戻った。


「ルフィア様、いらっしゃいますか?」

「……っ!ラジールく、ん」


 扉越しに彼の声に唸り声を上げて毛を逆立てるハイネの瞳には、怒りが宿っている。

 どういう訳かハイネは、レイ以上にラジールくんに対して威嚇することが多くて、正直彼をハイネに会わせたくない。



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