スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜


 お陰で慣れない格好のまま家を出て、馬車でかれこれ二時間弱といった所だろうか。


 森を抜けて、一枚の絵のように美しい、舗装された色鮮やかな赤レンガの道と、白を基調とした綺麗な街並みがそこには広がっていた。


 観光目的だったらまだしも、これから舞踏会とかいう未知の世界に足を踏み込む私は、そんな景色を堪能できる余裕もない。



「はあ……」



 心の余裕もないし、コルセットってこんなに苦しいなんて聞いてない。


 不満が溢れ、思わず零れた溜め息にセドリックはすかさず反応する。



「とても綺麗だよ、ルフィア」


「そりゃあ……どうも」


「君の瞳と同じドレス、よく似合っているよ。ルフィアにはこれがいいと思った僕の目には狂いはなかったようだ」



 しわにならないように、汚さないようにと慎重に扱っているドレスに目を落とし、ふと一つ疑問が浮かぶ。


 ……サイズなんて測って貰ってないのに、なんでこんなピッタリなサイズなドレスを用意してあったの?


 ドレスから目を離してセドリックを見ると、彼は何かを理解し得意げに笑っていた。



「だから言ったろう?僕の目に狂いはないって」



 見ただけでサイズを……??


 いやいやいや……流石に女性の扱いになれてるとは言え、そんな高度な技術まで身につけられるものなの?








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