スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜



「……すまないルフィア。呼び出しが掛かってしまった。サボりたい気持ちも山々だが、ルフィアとの時間を確保するために、やるべき事をやってくる。何か困ることがあれば、遠慮なくユツィーに言ってくれ」


「えっ、あ……うん。なんかドタバタさせたみたいで、ごめんなさい」


「俺の意思でルフィアをここに連れてきたんだ。謝る必要はない」


 腰を抱き寄せていた腕の力をほんの少しだけ緩めたかと思えば、もう一度力強く抱きしめてくる。


「レ、レイ?」


「……仕事が終わったら、俺との時間をくれないか?」


「別にいいけど、さっきみたいな実験は……あんまりしてほしくない、です」



 実験で変に唆されるなんて受ける側の身にもなって欲しい。

 異性に免疫もない私に、さっきまでのレイの行動は心臓が何個あっても足りない。

 スキルがあるはずなのに……それが発動していないのはおかしな話だけど。


「分かった。約束する」


 あれだけ不機嫌そうな顔をしていたのに、嬉しそうに笑うから、不覚にもまたドキリとしてしまう。


 そんな私を置いて、レイはユツィーさんに言われた通り、カイルさんの元へと向かうべく城の中へと戻る後ろ姿に、聞こえないと分かっていながらも、行ってらっしゃいと呟いて見送ったのだった。



 


 
< 52 / 237 >

この作品をシェア

pagetop