スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜



 ホッとしたのもつかの間で、ユツィーさんの言葉に思わず顔を歪めてしまう。



「初めまして、ルフィア様。この度、マスターより世話係の命令を承りました、ユツィ―と申します。どうぞユツィーとお呼び下さい。快適な生活が送れるよう努めて参ります。何なりとお申し付け下さい」


「じゃあ、ユツィーって呼ばせてね。あと……あの、どこまで私のことを知っているか分からないけど、私敬われるような人間でもないから、その、もう少し気楽に話してくれると嬉しいんだけど……」



 レイが何処まで周囲の人に私のことを話しているのか分からず、下手に庶民の出であることを明かしてレイの立場が悪くなるようなことは避けねばと、遠回しに自分の身分が低いことを伝えて様子を見る。


 でも返ってくる態度は、一向に変化しない。



「それはマスターの命令には含まれておりません。私は、ルフィア様の身の周り世話を任されています」

「はあ……」



 これは何を言っても無駄としか言いようのないユツィーに、渋々と受け入れて貰えなかった事実を飲み込むしかなかった。


 せっかく慣れない環境化でのお友達が出来ると思ったのに、な。


 外見がこんなのだから、世話係という役職が付かなかったら私を見るや否や、小さな悲鳴を上げて回れ右していることもあり得る。


 でも悲鳴を上げるのも、逃げることもしないのも、彼女はレイから世話係を任されているから。


 そんなことして私からレイに告げ口されれば、ここでの職も失いかねない。
 

 必要以上に関わりたくないという、彼女の対応も何だか納得できた。






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