天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~


「あんた薬屋さんかい?」


突然知らない、おばあさんに話しかけられた。


「え、ええ」


戸惑いながらも返事をすると、その人は笑った。


「痛み止めをくれないかね」

「えーと、痛み止めですね。こちらです」

「ありがとう…」


お代を貰い初めて薬を売れたことの嬉しさを噛みしめていると、そのおばあさんはまだ私の側にいて黙って見ていた。


「あの…何か?」

「ああ、ごめんね。私が幼い頃あなたによく似た人に助けてもらった記憶があってね」

「…そうなんですか」

「当時、私は貧しくて母親の薬を買うお金もなかった…途方に暮れて泣く私を見つけた薬師様は話を聞いてくれて高価な薬をタダでくれたのよ」

「お母さまは助かったんですか?」

「ええ、おかげで天寿を全うしたわ。…もし、あなたが薬師様の家族ならそのお代を払おうと思って…」


そんな立派な薬師もいるのね。


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