天空の姫Ⅱ ~二人の皇子に愛された娘~


それから宮に延輝は毎日鈴蘭を植え始めた。


宮の庭を一面鈴蘭で埋め尽くすと張り切っていた。


そんな彼を私は微笑ましく静かに見守った。


天宮を歩いていると声がした。


「天女様にご挨拶を」


小さな男の子だ。この子はたしか…。


「蓬莱!」


延輝が蓬莱の前に出てきて男の子から守ろうと立ちはだかった。


「延輝。平気よ…。それより、小さいのに礼儀がなっているなんて、いい子ね」


男の子の頭をなでると、その子は微笑んだ。


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