【短編】貴方だけを愛しています

「たっちゃん」



「何だ？」



「浮気はしないって信じてるから大丈夫」



「あぁ」



「独占欲も別に気にしてないよ」



「…………？」



「案外、私に隠してる事があるんだね！！」



「……唯来の方が、相当だな;;」



「余計な事言って、妬かれても何も出来ないだろ？まだ親父たちは、許してなかった頃の話でもあるし」



「何で許さなかったの！？」



「だって、念願の娘で;;達也が良い男になる保証が……;;」



「あったでしょうよ！将也お兄様より、確実に、何倍も！」



「ふざけんな！俺より良い男……」



「居るでしょう？お兄様」



「将也、自覚したのね！」



「どんな親だ！！;;」



「でも、あっさりくっ付くものね」



「唯来は医者と結婚すると思ったが……。子供の想いは一時だけだと、見くびってたな」



「達也のどこが良かったの？」



「纐纈の家ではいつも余り者だっけど、たっちゃんは私を優先くれた。その優しさかな」



「うちに来た頃は、俺らとは口聞かずにクマのぬいぐるみ抱いて、“達也お兄様！達也お兄様！”って、いつも半泣きでついて回ってたもんな」



…そんな事も、あったね。