No rain,No rainbow
車内に流れる洋楽と、律さんの穏やかな声。

優しい指先。

前方を見つめながら、運転する律さん。

その横顔を、どうにか私の方に向かせたくて。

寝たふりをする、天の邪鬼な恋ごころ。

まるでそれを見越しているかのような、律さんは、

赤信号で車を停めたタイミングで。

「詩さん」

私の名前を呼んだ。


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