No rain,No rainbow
「そうなんですね。今日は何を撮るんですか?」

「空とか、花とか。近くの公園でチューリップがキレイなので」

穏やかに話す口元は、緩やかに弧を描いている。

「チューリップ、いいなぁ。私も帰りに見てみます」

「キレイなので、ぜひ」

「はい。引き止めちゃって、すみません。いってらっしゃい」

軽く手を振ると、

「はい。いってきます」

律さんも軽く手を振って、お店を出ていった。

その背中を眺めていたら、突然くるっと振り返った、律さん。

にこっと笑ったりするから、私まで笑顔になった。


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