愛しの君がもうすぐここにやってくる。

「あれ?今って何時だ?」

手習いの途中で眠ったのか、気がつくと日差しが少し傾きかけていた。

琵琶を習い始めてもこうしてしっかりと古今和歌集もやっているし。
私ってえらい?っていうか、時親様に認めて欲しいと思うから、それだけ。
この時代に私があるのなら、彼のためにもこの時代にふさわしい女性になろうと思った。

これまではずっと私が時親様のことをどう想っているかなんて意識しないようにして過ごしていた。
でもあの菜の君、お姫様が私と関わって、それから叶わない想いであったとしても少しだけ本当の思うところを本当の気持ちを認めても・・・少しだけそう思うようにもなった。

そうしたら少しずつ時親様に惹かれ始めている自分がいた。
でもやっぱり私はここの人間ではない・・・、
そう思って躊躇する。

私の想いはこの時代の中で彷徨うだけ。
やっぱり意味を成すこともない・・・。

なにより時親様を困らせてしまうから。
あのお姫様のことがあってから、閉じ込めようとしていた想いが騒ぎ出し、
余計に考えが、
想いが、
自分の中でややこしくなってきてしまっている。

結局、私ってどうしたいのだろうか。

< 97 / 212 >

この作品をシェア

pagetop