ウソツキハート



狭い会場から抜け出して、ただただ2人、走り続けた。



好きな人に手を引かれることは、とてつもなく、嬉しくて。



あたしがあらたを想う。



なんだかそれだけで、満ち足りた気持ちになる。



「あんず。」



走りながら一度、振り返ってあたしを呼んだ、あらた。



その目は柔らかく、優しい。



「……っ…、」



そんなあらたの眼差しに、涙が溢れてどうしようもなくなった。



下を向きつつ、あらたと走る。



走ったせい、プラス泣いているせいで呼吸がうまくいかなくて。



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