ウソツキハート


そろそろと、少しずつあらたに目線を戻した。



あたしは今、どんな顔をしているんだろう…?



あらたの目に映るあたしは、哀れに見えるだろうか…?



「何をそんなに、怖がってんの?」



「……!!」



そんなあらたの意外な言葉に、目を見開けば。



その刹那、あたしの背中を抱き寄せたのは誰でもないあらたで。



片手は背中を、片手はあたしの頭をゆっくり撫でた。



「…何が、怖い?」



呟かれたその声は、どうしてそんなに不安そうなんだろう…。



.
< 99 / 373 >

この作品をシェア

pagetop