政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
沖縄旅行が明後日に迫っていた。
楓君と子供について話し合おうと思っていたが彼の仕事が今日まで忙しく日付を超えて帰宅…なども頻繁にあったためそれはまだ行われていない。
寂しさはあったがそれ以上に彼の体が心配だった。
大丈夫、とは言うが妻として家事をすることしか彼を支える術がなくもどかしさが募っていた。

 11月に連休が取れた、と言ったがそれは本当は嘘で、無理に休みを取ったからそれを埋めるように急に忙しくなったのではないかとも推測していた。
旅行は二泊三日で、西園寺グループが経営している高級リゾートホテルに泊まる。
 もちろんその時に“する”という約束は覚えている。
決して反故にするつもりはないし、彼と向き合うつもりだ。

「日和?ちょっといい?」
「うん。どうしたの?」
 
 久しぶりの二人での夕食後、楓君が私を呼ぶ。
ちょうど寝る前のハーブティーを入れていたところで、楓君の分も一緒にリビングのテーブルに運ぶ。

「あのさ、清川のことなんだけど」

まさかの清川さんの名前に全身に緊張感が走った。
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