政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
旅行から帰宅して私は浮かれていた。

新しく始めた仕事も順調だ。それでいて、楓君ともついにつながることが出来て満足していた。
後日、舞衣子にもお礼を伝えて、ローションは使用しなかったがちゃんと”すること”が出来たことも報告した。
彼女は自分のことのように喜び、そして次も頑張って、といった。

しかし…―。
どうしてか楓君の態度がおかしな日が続いていた。何かに悩んでいるようだ。


 今日は久しぶりの出勤だった。
エプロンを付けていると、スタッフ用の部屋に山内さんが入ってきた。

「どうしたの?」
「いえ、すみません。今日はもう上がりですか?」
「うん。そう。そういえば西園寺さんって新婚なんだっけ?」
 
 山内さんとは結構仲良くなっていると思っている。(山内さんがどう思っているのかは不明だが…)
こうやってお互いの話をする機会も増えた。
山内さんはあまり笑わないイメージがあるが、最近ははにかむように笑ってくれることが増えた。
それも心を許してくれている証なのでは、何て思うのは調子に乗っているのだろうか。

「新婚です!一応…」
「一応って何?」
「いろいろありまして」

 色々?と訝し気に聞き返す山内さんに何て答えようかと考えているとノック音と同時に女性が一人入ってくる。
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