政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】

彼女は何でもお見通しだというような目で私を見据える。
そこで私は楓君のパーティーの件を話した。何とか行けることになったが、楓君はあまり来てほしい雰囲気ではないことや秘書の清川さんが言っていたことを彼女に話す。

すると、舞衣子は深く二回頷いた。

「なるほどね、秘書は日和の旦那のことが好きなのねぇ」
「え?そうなのかな…?」
「多分そうでしょうね~見てないけど話を聞く限りだとそうじゃない?美人で仕事ができる秘書か~日和の旦那は何にも言ってないの?」
「仕事の話は一切しないの。だから何も聞けないよね」
「そうなんだ。長い間秘書が同じだとすると二人の間に何かあってもおかしくはないけどさぁ」
「やっぱり?結婚しているとはいえ、私と楓君は政略結婚だから」
「そう弱気になるのもわかるな~でも!今の奥さんは日和なんだから、もっと自信もって相手に嫌味の一つでも言い返してやりなよ!」

私は噴き出すように笑った。彼女のように明るくて思ったことを口にできる性格を羨ましいと思った。
お嬢様であるのに、大きな口を開けて笑うその気取らない性格が大好きだった。舞衣子としばらく他愛のない会話をしてから彼女は帰っていった。

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