もう⋅⋅解放⋅⋅して⋅⋅⋅下さい

✩✩旭SIDE②


紬が、
マンションから出て行って
ひと月が過ぎた。

紬は、俺がいない間に
自分の荷物を取りにきているようだ。
その時にいたら
会えるのだろうが⋅⋅⋅⋅⋅
ずっと、会えていない
会いたい⋅⋅⋅⋅⋅
会って、謝りたい⋅⋅⋅⋅⋅
もう、絶対にこんな事は
しない⋅⋅⋅⋅⋅と⋅⋅⋅⋅伝えたい⋅⋅⋅⋅⋅


紬の居ない部屋に
帰るのが億劫になっている

その上、
部屋は、どんどんと汚くなり
紬が居ないと何も出来ない

紬が、いつもきちんと
やってくれていたから
快適に暮らせていたんだ
どうしたら⋅⋅⋅⋅⋅
どうしたら良いんだ⋅⋅⋅⋅⋅⋅
そう思いながら研究所を出ると
「旭。」
と、声をかけられ
振り向くと⋅⋅⋅⋅⋅⋅

「⋅⋅⋅⋅あか⋅⋅⋅ね?」
「会えて良かった。」
「なぜ?」
「えっ、名刺くれたじゃん。
まあ、私だけでなく
旭は、周りにいた
何人かにも渡していたけどね。
会社に電話するのも
と、思って来てみたの。」
淡々と話す茜に
苛ついた俺は、
「だから、何しに来たんだ。」
と、言うと
少しびっくりした顔をしたが
にっこり笑って
「あら?失礼ね。
あの日は、同意の上だったでしょ?」
と、言う茜。

研究所から出てくる社員に
ジロジロ見られたり
お疲れ様です
と、声をかけられたりする為
「駅の近くにカフェがある」
と、伝えて歩きはじめると
ため息をついてから
茜も歩きはじめた。

あれから、一度も連絡もなかった
なのに、今更、なんのようだ?
と、思いながら
カフェに着き
テーブルにつくと
店員がオーダーを取りに来たので
注文をする
茜も自分の分を注文した。

店員がテーブルから離れたから
「わざわざ、来た理由は?」
「そんなに冷たくあしらわなくても
良いんじゃない。」
「同窓会なんかに
行かなければ良かった
と、思っている。」
と、言うと
「あなたね。まったく。」
と、呆れと怒りを含んだ
茜の言葉だが
俺は、怯まない。

だが⋅⋅⋅⋅⋅次の茜の言葉に
背中に冷や汗が流れた。

「ご期待通りに
    私、妊娠したの。」
と、エコー写真と言う物を
見せられた。

それと、母子手帳
「早いけど嬉しくて
    貰いに行ったの。」
と、茜は言った。

「聞いてる?旭。
私、産むから。
認知してね。
間違いなく、旭、あなたの子だから。
これ、私の連絡先。連絡して!
連絡ない時は、
また、研究所に行くか
研究所に電話するから、ね。

それと、今住んでる所
1Kで狭いから
引っ越ししたいからお願いね。
働ける間は、働くから。
今は、引っ越し費用と家賃だけ
払って。
引っ越し先決まったら連絡するから
旭、必ず連絡してよ。
じゃ、今日は帰るね。
あ~、奥さんとは⋅⋅⋅⋅
まっ、いっか。」
と、一方的に話すと茜は
飲み物も飲まずにカフェを出て行った。

取り残された俺は、
茜が置いて行った
テーブルの上にある
白黒の写真を見つめていた。
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