もう⋅⋅解放⋅⋅して⋅⋅⋅下さい

❖❖行方


その後、勇気をだして
高橋に連絡をするが
高橋は、電話にでることはなかった。
メールにも返事はなかった。

健太さんにも連絡をする。
健太さんは、折り返し連絡をくれて
結月が電話に出ないのを
不思議がり
【伊織君、何かしたの?】
と、言われた。

かい摘んで話をすると
健太さんは、大きなため息をつき
【紬ちゃんが何を考えているのかは
不明だけど、紬ちゃんが考え無しで
行動するとは思えないから
今は、待つしかないのでは。
伊織君にも反省する時間が
必要みたいだし。
紬ちゃんは、考えがまとまったら
気持ちが落ち着いたら
きちんと話してくれるよ。

人間って本当に勝手だから
その時、その場が上手くいくと
喉元過ぎれば····なんだよ。

気づけば良いけど
気づかずに、大事なもの
大切な物を無くす事が多々ある。
その時になって
こんなふうじゃなかった
こんな事になりたくなかった、とね。

琴葉ちゃんの事も
紬ちゃんは、伊織君にきちんと
話したのでは?
俺も偉そうな事は言えないけど
今は、下手に動かない方が良いよ。】
と、言われて電話切られた。

健太さんの言葉は
俺の心を突き刺した。
良い年をして、こんな事も
わからなくなっているなんて。

それから俺は、
朝起きて仕事に行き、
夕方帰り夕飯を二人分作り食べ
夫婦の寝室のベッドで眠る。

眠りは浅く
小さな物音でも
紬が帰ったのではないかと
起き上がる
そんな日々を
一週間······二週間······と過ごした。

その間、健太さん、母親から
紬を心配して連絡があった。

相変わらず、高橋から連絡は
なかったが、健太さんも
その事には触れなかった。

俺はまた、
紬を失ってしまったのではないかと、
落胆しやる気にかげりが出始めると
カルロスから
【お前、学習能力ないな
同じことばっかやってんじゃないよ。】
と、叱られる始末。

紬が不在になって
   20日を過ぎた時·······
< 97 / 103 >

この作品をシェア

pagetop