灼けるような恋の先。
【菫side】
私は灯の制服やカバンや写真を持って、蹲って泣いていると段々頭が冷えてきた。
そうだ、晄の言う通り私は自分を大切にしてって言われたんだ。
灯の最期の言葉を蔑ろにしていいの?
灯が亡くなって自暴自棄で現実逃避して求めてくれる樹を受け入れて…。
そんなのダメじゃん。
「晄、ありがとう」
そうだ、私はクールな菫。
灯にギャップだねって笑ってもらったこともあるじゃん。
なんでこんなに弱くなったわけ?
晄にお礼を言って、立ち上がって樹の顔を真っ直ぐに見つめる。
「樹、別れよう。
私は樹が望む気持ちを返してあげることが出来ない。
お互いこれ以上一緒にいない方がいい。」
きっと傷つける。
きっと怒らせる。
それでも私はもう間違ったことをしたくなくて、色々間違って体に受けた代償は大きいけど
まだ引き返せるもん。生きてる限り。
私の言葉に樹はやっぱり顔を赤くして私の頬を殴る。
「ふざけんなよ!!別れるか!!絶対別れねぇ!!!」
「もう決めたんだ。樹が何を言っても別れる。
わかってくれないなら分かるまで話し合うよ」
苛立ちの中に悲しみの表情を浮かべながら私を殴る樹に晄が止めようとするのを私は止めた。
「樹、しっかり話そう。
晄はここで待ってて。必ず帰ってくる。
帰ってきたらちゃんと遺品整理しよう」
絶対に帰ってくるから信じて。
と念を込めて晄を見ると、気持ちが届いたのかしっかりと頷いてくれた晄。
それからは怒る樹を連れて樹の家まで帰ったのだった。
何がどうあっても説得する為に。