灼けるような恋の先。




「良かったなー菫!」



「晄」






拍手をして現れた晄にもしかして知ってたの?と聞こうとしたけどにっこり笑って頷くもんだから聞けなかった。



でも多分絶対知ってたよな。






「灯からの指輪は外す。
大事に飾ることにするよ」






今、私が大切だと思えるのは樹だから。



灯のことは大事な綺麗な過去としてしまえるくらいにはなったから。




そんな私に優しく笑って私の手を握る樹。






「俺あの後オヤジたちに謝ったり修行して社長になったんだ。
連携会社の小さいヤツだけどな。
でも俺しっかり恥ずかしくないようになったら菫にプロポーズしようって決めてたから来た」






誇らしそうに笑うその顔は立派になっていて、あの時の精神が不安定の守ってあげたくなるような顔じゃなくなってた。



むしろ守って欲しいみたいなそんな成長した姿。






「離れてからもずっと大好きだった。
こんなに誰かを想ったことなくて、菫の存在が俺の頑張りだったんだ。
何年もかかったけど、俺のプロポーズ受けてくれてありがとな。」



「私もずっと大好き。
徐々に積み重ねた好きの気持ちと思い出があったから私今日まで生きてるんだよ。
いつかまた会えるって、心のどこかで思ってた。愛してるよ樹」






恋じゃなくてこれは愛だもん。



もう二度と誰かを失いたくない。



たくさん大事にしたい。




不器用かもしれないけどちゃんと取りこぼさないようにこれからの毎日を樹と積み重ねていこう。





私はそう強く思った。






< 196 / 199 >

この作品をシェア

pagetop