君との想い出が風に乗って消えても
大切な君といつまでも



 加恋ちゃんと想いを伝え合ってからは。
 学校以外のときも、よく二人で会った。

 図書館で勉強して。
 夏祭りに行って。
 公園を散歩して。
 ショッピングモールに行って。
 それから秘密の場所にも。

 それ以外の場所もあちこち行った。


 加恋ちゃんと一緒にいると、すごく楽しくて幸せで。

 そういう日々はあっという間に過ぎていく。

 気付いたら、今日は十二月二十五日、クリスマス。

 今日も加恋ちゃんと会う約束をしている。

 今は待ち合わせ場所へ向かって歩いているところ。

 僕は周りを見渡す。

 今日はクリスマスということもあってか。
 心なしかカップルが多いような気がする。



「優くん‼」


 そう思っているとき。
 後ろから加恋ちゃんの声がした。


「加恋ちゃん」


 待ち合わせ場所に着く前に加恋ちゃんと会えた。


「嬉しいな、少しでも早く優くんに会えて」


 加恋ちゃんがとびきりの笑顔で可愛らしく言った。


「僕も少しでも早く加恋ちゃんに会えて嬉しい」


 そう言った僕は加恋ちゃんの手をやさしくつないだ。



 加恋ちゃんと歩く道。

 そこには穏やかな時間が流れている。

 それは、まるで特別な空間にいるみたいに。


 僕と加恋ちゃんのすぐ横をカップルが通り過ぎる。

 そのカップルから見ても。
 僕と加恋ちゃんも一組のカップル。

 そう見られているのかと思うと。
 少し照れてしまう。


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