ムボウビハート
「じゃあ、正しいのを教えて、やる。」
キッチンに立つあたしを、後ろからふわりと抱き締めながら、あらたが言った。
紅茶のにおいと、あらたの、甘い白が混ざって香る、2人だけの空間。
あたしの耳元で、囁くように歌い出した、あらた。
あらたの息が、頬や耳に触れる。
いつもにも増して、甘さを含む声色は、静かにココロに染み込んでゆく。
相変わらずの、流れるような発音と、完璧過ぎる音程が若干、腹立たしいけれど。
あたしの恋人は、歌も上手だ。
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