ムボウビハート
heart×14.



 「…手袋、忘れた…」



つぶやいた声は、寂しく響いた。



電車から降りて、駅の出入り口に向かって、歩く。



さっきまでは友だちと一緒にいて、お喋りしていたから気にならなかった寒さが、急にカラダに染み込んでくる。



気にならない。



この寒さも、今、たぶんひとりでいるあらたのことも。



…ウソ、だ。



本当は気にしている。



昨日も今日も、ずっと。



…気にしっぱなし、だ。




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