ムボウビハート



 「どうした?あんず。甘えたさんか?」



あらたの口から突如飛び出した、『甘えたさん』なんて可愛らしい単語に緩むのは、あたしの頬。



「…きゃ!!」



小さな悲鳴が漏れたのは、急に振り返ったあらたが、あたしを強く抱きしめたから。



「…あらた…どうし…!…ん…ッ…!!」



あたしのコトバ遮った、あらたのくちびる。



強く絡め取られたあたしの舌は、ビリビリと電流が走ったように、言うことをきいてはくれない。



あたしの後頭部と腰にまわされた、あらたの右手と左手の熱は、苦しいほど熱い。




.
< 45 / 179 >

この作品をシェア

pagetop