ムボウビハート


 「…あらた、それってもしかして…プロ……、」



言いかけた、あたしのコトバを塞いだのは、身を乗り出したあらたのくちびる。



「今はまだ、言わねー。そのうち、な?」



その表情は、いたずらっ子そのもので。



愛おしいだとか、好きだとか、可愛らしいだとか、離したくないだとか。



たくさんの感情が押し寄せる。



「一個だけ、今言えんのは。」



少しだけ、腫れた瞼のあらた。



「俺も、あんずを忘れたり離したりしない。絶対に、何があっても。」



広い世界の中の、小さな洗面台の前で誓う、優しい愛。











『シアワセハート』








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