私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
それぞれの想い


 翌週、菜々美は会社の半休を取って、延原の勧めてくれた産婦人科に行った。

キチンと検査を受けて妊娠を確認すると、祖父の見舞いに行く事にした。

奏佑の子を妊娠しているのに、高村との結婚話を勝手に進められても困る。

祖父の気持ちは尊重したいが、こればかりは譲れない。

菜々美は明るい色の花やかすみ草を活け込んだ花籠を作ってもらい、
恒三が入院している『脇坂総合病院』へ向かった。

『そういえば、もう一ヶ月以上になるかしら…。』

祖父の入院が長引いている事も気にかかる。

特別室に上がるエレベーターに乗って、祖父の元へ急いだ。
ノックをしてから病室の入ると、祖父が一人で雑誌を読んでいた。

「こんにちは。」

「やあ、顔を見せに来てくれたのかい。」
「お加減はいかがですか?」

「ぼちぼちだよ。新しい薬が良く聞いているみたいだ。」
「そうですか。それは良かった。」

「菜々美、少し痩せたんじゃあないか?」

まさか、祖父に悪阻だとは言えない。

「…今、会社が忙しい時期なので。」

「ああ、もうすぐクリスマス。直ぐに新年だな。」
「はい。あの…。」

「なんだい?」

「あの、先日のお話の返事をと思いまして…。」


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