私を赤く染めるのは
煌side



       ❨煌Side❩


覚悟ができていなかったのは俺の方かもしれない。


あの日、結月が零した「好き」という言葉に俺は―――



思い返すと俺は初めから結月に惹かれていたのかもしれない。

初めてテレビに出演してから3ヶ月。

正直、その頃が一番辛かった。

あの日以来、事務所には色々な仕事のオファーが舞い込み、俺たちは多忙な毎日を過ごしていた。

テレビ出演に雑誌の撮影と初めての仕事に喜びを感じていたのも事実だ。

今までエゴサをしても引っかからなかった俺達へのコメントが日に日に増えていく
嬉しかった。

だけど、増えるのは応援の声だけではない。


《Bijouって最近、調子乗ってない?》

《誰か煌の魅力おしえてwww》

《煌なんて顔だけじゃん。さっさと辞めろよ》


今まで触れてこなかった悪意のある言葉は着実に俺の心を蝕んでいった。


そんな時だった。

“ゆづ”のアカウントを見つけたのは。

エゴサの最中、目に飛び込んできたのは尋常じゃないほどの熱量を感じるハチへの投稿。

それは前日、出演した歌番組に関するものだった。

ハチのパートのこと、ふとした表情のこと、事細かに記されている。

「こいつよくわかってるじゃん」

そのアカウントを見に行くと、8割がハチのことだった。


やっと見つけたの俺への投稿は

__________

ゆづ@yuzu_8▲▲v

煌って最近鍛えてるのかな?
忙しそうなのにすごい

__________

たったそれだけ。

でも、俺の心を癒すには十分だった。

それからはゆづの投稿を見にいくのが楽しみになっていた。

アイコンにはコンサート用だと思われるハチの団扇。
プロフィールには高校2年生と書いてあり
、俺が知るゆづの情報はそれだけだった。


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