激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす

「会社まで送っていこうか?」
「……嫌ですよ」

 この車、目立つんだもん。一発で私が宇柳さんの車で送迎だってばれてしまう。
うちは広いようで狭く、女ばかりの仕事場だ。噂は明日には掃除のパートのおばちゃんたちにさえ伝わっている。

「今日、アロマの香料が全て揃うので、何もなければサンプルを作る作業に入りますね」
「ああ」
「それで、アロマなんですがもしかしたら、練り香水みたいなほのかに香るのではなく部屋中に香るには、オイルで作るのもいいかなって思っています」
「……ふうん」

じっと私を見るので、首を傾げる。

「気になる点があるなら言ってください」
「仕事モードも可愛いなって」
「ばっ」

ばっかじゃにの、と持ってる鞄で殴りそうになった。
酔った勢いで言っていい言葉と、素で言うと恥ずかしくて死んでしまう言葉があるとしたら、滅茶苦茶後者の言葉だと思う。

「今日は――用事があるんだが明日は迎えにいく」
「……会社は嫌です」
「じゃあもう俺の家に帰ってきて」
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