激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす


『ねえ、フォーマルなドレスってどうする? やっぱ胸を強調するような下品な奴じゃなくて、エレガントで優雅な感じにした方がいいよね。新しいの買おうかな。取引先とか絶対に大手ばっかでしょ』

 ってやる気出していたもんね。

 私と色をかぶりたくないからと、一緒にドレスを見に行った。
 私は初日に彼から送ってもらって、ずっと着ずにクローゼットに飾っていたあのドレスを着てきた。

この大ホールで、聖さんのご両親に初めて挨拶するんだけど、これは後日ちゃんと時間作ってもらわないと、今も招待客にあいさつ回りしていて会えてもいない。

「いやあ、リムジンで送迎してもらえたから、本当にお姫様みたいだったよね」
「うん。でもロータリーもリムジンだらけだよね」

 聖さんがこの日の為に何十台もリムジンを手配したと言っていた。
 会社の海外進出はこれから一番力をいれるらしく、この祝賀パーティーは盛大かつ華やかにしたいと言っていた。

「今、受付の子が今日のパンフレットくれたんだけど、ケータリングは『モン・シャトー』だって」
「ええっ。あんな高級店、入ったこともないのに。絶対ケータリングなんてしない店だよね」
「しかも従業員は社員旅行にグアムだって」
「……うわあ、転職したい」

 うちの社員旅行は、九州で温泉だったもんね。家族がいる年配の人たちしか来なくて、ほとんど若い私たちは参加もしないもんなあ。
 ちらちら招待客とすれ違う。
 けれどやはり世界中どこを探しても聖さん以上に安心して興奮して素敵な香りはないのだと、本末転倒したのだった。
< 160 / 168 >

この作品をシェア

pagetop